LUCIE&LUKE MEIERrがキュレーションを手掛けた『A MAGAZINE CURATED BY』

Lucie＆Luke Meierがキュレーションを手掛けた『A Magazine curated by』

私たちは自然に囲まれた、恵まれた環境で育ちました。

山々に隣接する場所、海辺、小川が流れる森の中、湖や氷河の近くといったように。若いころは都会に憧れ、音楽、アート、カルチャー、デザイン、クラフトのすばらしさを発見しました。その中で私たちは自分らしさを表現することと、クリエイションを可能にする道を見つけることができたのです。今、幸運にも私たちは並外れた才能のあるクリエイティブな人たちと一緒に、絶えずアイデアを現実のものとすることができています。

そこで今号では、私たちの仕事や生活にインスピレーションを与えてくれているネイチャーの2つの意味―ヒューマン・ネイチャー（人間性）とマザー・ネイチャー（母なる自然）―をテーマとすることにしました。

この2つは同じようにパワフルに、私たちに情報を提供し、クリエイションに対する願望に刺激を与え続けてくれています。まず、私たちの人間性の理解の中に、疑う余地のないはっきりとした真実が浮かび上がってきました。子供は自分を取り巻く環境のことを理解していませんが、成長するにつれて、人間性に対する深い感謝の気持ちが芽生えます。すると物事を比較してみるようになり、それによって現在見えていることは過去にあったものとは違うのだということ、つまり“変化”は絶えず続く、避けられない、あらゆることに関わるものであるという事実が理解できるようになっていきます。この事実は同時に、新しい音楽、新しいアート、新しい映画、新しい写真といったポジティブなものともなります。従来のイメージを一新させ、斬新な観点をもたらすアイデアであり、今この瞬間と、その次の瞬間のことでもあります。人間には時や場所と完全に同期したサウンドトラックを制作し、イメージや表現を生み出す能力があり、起こったことやその時の感情に状況説明や意味合いを与えられます。

一方、母なる自然の中にある変化は、より意図的かつパワフルで、時には制御不能なものとなることさえあります。

季節が移り変わり、夏は高温多湿で、冬は寒く乾燥する。これは私たちも理解できるリズムでの自然の動きです。しかし年齢や経験を重ね意識が高まってくると、氷河の融解、動物人口の減少、動植物の絶滅、天然資源の品質劣化など、母なる自然の中の変化が警告であることが分かってきます。 これに応えて、人間性も変わらなければなりません。

私たちの見通しは今もポジティブでインスピレーションにあふれたものであることに変わりはありません。このことに対する意識が、より高まってきているように感じているからです。母なる自然に耳を傾け、私たち自身の生活を調整しなければならないことが認識されています。そうすることができ、またそうしなければならないのです。この号の中で、イメージやアーティスト、場所、施設、工房、さまざまなレベルで私たちにインスピレーションを与えてくれている人々をまとめました。私たちの世界を皆さんに見ていただくことが目的です。

私たちにとって大切なことを見て、感じてください。きっと皆さんも同じようにポジティブな気持ちになれるはずです。そして、こうした記事が皆さんのペースを少し落として、あらゆる形のネイチャーを慈しむように働きかけることでしょう。

私たちは、2020年を通して休むことなく闘ってくださっている世界中の素晴らしい人々に、今号を捧げたいと思います。医療スタッフ、医師、スーパーなどで働く人々、タクシー運転手、農家の方々を初めとして、多くの人々に心から感謝の意を表したいのです。

また、並外れた母親でありアーティスト、教師、そして何よりも私たちが大変お世話になっている、Rhoda Maria Meierさんにも今号を捧げたいと思います。彼女は、私たち双方の家族に対して、最初のインスピレーションと絶え間ないサポートを提供してくださいました。

最後に、これまでの旅を通して私たちに寄り添ってくださった素晴らしい同僚、支援者、友人の皆さんにも心からの感謝を捧げます。皆さんはいずれも最高の敬意が払われ、称賛が贈られるべき人々です。

どうぞ今号をお楽しみください。


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